こんにちは!元公務員FPの岩崎です。
前回&前々回に引き続き、メルマガ読者さんからのご質問に答えていきます。
質問内容はコチラ
お疲れ様です。
翌年度の四月から、高卒で地方公務員の一般事務職で働き始めるのですが、初めから知っておくと良いことはありますでしょうか。
また、高卒ならではのメリット、デメリット、注意点などがありましたら教えていただけると幸いです。
イデコはすぐに始めた方がいいのでしょうか?それともある程度収入が増えてからの方がいいのでしょうか?
初任給は約14万円です。
「公務員として初めから知っておくと良いこと」、「高卒ならではのメリット、デメリットなど」については以前お答えしました
今回は、「イデコはすぐに始めた方が良いか?」についてお答えします。
結論は、『すぐ始めなくてOK』です。
そうなの?イデコってメリットいっぱいあるんじゃなかったっけ?
イデコをすぐに始めなくて良い理由と、逆にすぐ始めるべきことを紹介するね。
高卒公務員がイデコをすぐに始めなくて良い理由
質問者さんも「ある程度収入が増えてからの方がいいのでしょうか?」と書かれていましたが、そのとおりです。
具体的には、
- 初任給が安く、余裕がない
- 60歳まで引き出せない
- 特別法人税の存在
この3つの理由から、高卒公務員の方はすぐにイデコを始めなくても良い、と思っています。
ひとつずつ説明していきますね。
初任給が安く、余裕がない
質問者さんの初任給は14万円とのことでした。
じゃあ全国平均はどうなの?ということで、総務省の調査、「平成29年地方公務員給与実態調査」を見てみましょう。
- 平均で14万9,603円
この金額は、
- 地域手当や住居手当の各種手当は含まない
- 税金や社会保険料が引かれる前の金額
なので、実際の手取り額ではありませんが…
めちゃくちゃ余裕のある金額!とはちょっと言いにくいかと思います。
うーむ、たしかに…
イデコも投資のひとつなので、余裕資金でやるべきもの。
公務員のイデコの掛け金は、月に1万2,000円が上限なので、それくらいなら大丈夫かな、と思えた段階で始めると良いでしょう。
公務員は、ちゃんと働いていれば毎年昇給するので、数年様子見するのも全然アリですね。
(これから何十年も今の昇給制度が維持されるかはまた別ですが)
また、僕の公務員時代の昇給実話を次の記事で公開しています。
「どんな感じで昇給するんだろ?」という若手公務員の方はぜひチェックしてみてください。
公務員の昇給公開!1年で7千円。ずっと上がる?仕組みをやさしく解説
ちなみに、手当を含まない月給を「給料」、手当を含む月給を「給与」といいます。
余談ですが、地方公務員の手当って26種類もあるんです。次の記事でまとめてるので、興味のある方はぜひどうぞ。
地方公務員の「手当」は26種類!地域手当や扶養手当、全て紹介します
イデコは60歳まで引き出せない
さて、高卒公務員がすぐにイデコを始めなくても良い理由のふたつめ。
- イデコで積み立てたお金は、60歳まで引き出せない。
つまり、たとえ教育費や入院費など、まとまったお金が必要になっても、イデコのお金はアテにできないんです。
これは、イデコが老後資金の確保に特化した制度だからです。
事実上、
- イデコ=老後専用マネー
になってしまいます。
始める年齢が遅くて、ちょうど60歳くらいでお子さんがまだ大学生、といったような場合は教育費に使うこともできますが…
若い年代の方にとっては、基本的にイデコ=老後専用マネーとなるでしょう。
その点、現金ならいろんなことに使えます。使い道が限定されない、という意味では、現金は最強なんですよね。
なので、まずはある程度貯金をして、現金を蓄えましょう。
イデコの加入検討は、それからでも遅くはないですよ。
なるほど。イデコって何があっても60歳まで使えないの~?
いちおう例外規定が2つあるよ。
- 死亡した場合
- 一定の障害状態に該当した場合
この2つの場合、60歳より前に使えます。死亡の場合は、遺族に積立金が支払われます。
ここでは詳しく紹介しませんが、イデコで積み立てたお金が無駄になることはないよ、ということですね。
特別法人税の様子見をしても良い
さて、高卒公務員がすぐにイデコを始めなくても良い理由のみっつめ。最後の理由です。
『特別法人税』の存在です。
とくべつほうじんぜい…?なにそれ…
イデコで積み立てたお金の1.173%が毎年取られちゃう税金のことです。くわしくは次の記事をどうぞ。
この特別法人税、1999年(平成11年)からずっと凍結されています。制度としては存在するけど、適用が見送られてるということですね。
年度 | 内容 |
---|---|
1999年度 | 凍結開始 |
2001年度 | 2年の凍結延長 |
2003年度 | 2年の凍結延長 |
2005年度 | 3年の凍結延長 |
2008年度 | 3年の凍結延長 |
2011年度 | 3年の凍結延長 |
2014年度 | 3年の凍結延長 |
2017年度 | 3年の凍結延長 |
2020年度 | 3年の凍結延長 (2022年度末まで凍結) |
直近では2020年度に3年間の凍結延長となったので、2022年度までは凍結されたままです。
なので、2023年度になったら「復活 or 凍結延長 or 廃止」の判断がされます。
今のところ3年スパンで見直しをしてるので、この動向を見てからイデコを始めるか検討しても良いでしょう。
特別法人税は、イデコ利用者にとって邪魔者でしかないので、バッサリ廃止して欲しいですね。
なんかポイントがたくさんあって混乱してきちゃったぞ~~
ちょっとおさらいしようね。
- 初任給が安く、余裕がない
- 60歳まで引き出せない
- 特別法人税の存在
この3つの理由から、高卒公務員が入庁後すぐにイデコを始めなくても良い、と僕は考えています。
ただし、逆に「すぐ始めるべきこと」もあるんです。
逆にすぐ始めるべきこと
次の3つは、できるだけ早く始めると良いと思います。
- お金が貯まる仕組みづくり
- マネーリテラシーの習得
- スキルアップ
お金が貯まる仕組みづくり
まっさきにするべきことは、お金が貯まる仕組みを作ることです。
ちょっとややこしいんですが、
- お金を貯めること
ではなく、
- お金が貯まる仕組みを作ること
です。
公務員なら生活に困ることはありませんし、高校生時代のバイト代よりはたくさんの給与をもらえます。
僕も公務員として働き始めた4月にもらった給与は、「こんなにもらっていいの?」と思ったほど。
ま~、そんなにもらえたの?
半年分の交通費が含まれてたから、とくに多く感じたよ。
ただし、こんなにもらえるのかぁ、という感覚にまかせてバンバンお金を使っていると、すぐに底をついちゃいます。
じゃあ、節約をがんばればいいんだね、と「お金を貯めること」だけにフォーカスして闇雲な節約をしてしまうと、むしろ豊かな生活から遠ざかってしまうんですよね…
なので、無理のない節約をして、ラクにお金が貯まる『仕組み』を作ることが大切になってきます。
どうやってその『仕組み』を作ればいいの?という公務員の方向けに、『自動的にお金が貯まる仕組みづくり講座(全10回)』をお届けしてるので、ぜひお読みください。
お金が貯まらないのは、貯まる『仕組み』を作ってないから【講座第一回】
マネーリテラシーを身につける
日本の教育現場では「お金の授業(金融教育)」がほぼありません。
ですが、社会に出たら「お金の知識」は確実に必要になります。もしもお金の知識がないと、
- 税金をたくさん取られ、
- 無駄な保険に入らされ、
- ローン会社にだまされ、
- カード決済をむやみに恐れる
というように、損する可能性がすごく高くなるんですよね…
なので、しっかりとお金のことを勉強して、お金を主体的にコントロールできる能力(マネーリテラシー)を身につけましょう。
とくに公務員は、お金を取る側からすると「だましやすい職業」です。
生活する分には困らない給与があるので、お金の勉強をするという動機付けが働きにくい職業なんですよね。
お金の知識が無い人というのは、言葉を選ばずに言ってしまうと、「いいカモ」なんです。
か、かも…
僕も公務員時代は「とってもいいカモ」だったんだよね…
お金の知識がなくて、いろんな場面で損してきました 笑
実際、公務員になるといろんなセールスを受けます。
昼休みに保険のセールスを受けたり、職場に「マンション買いませんか?」という電話がかかってきたり…
そんな時、マネーリテラシーを身につけておけば、嘘にだまされず、情に流されず、きちんとした判断ができます。
僕が公務員時代に知っておきたかったお金の知識や、公務員だけが使えるお得情報などについて、無料のメルマガで配信中です。
登録していただいた方にはプレゼントも配付中なので、ぜひ読んでみてください。
公務員のためのマネースキル向上マガジン
スキルアップしよう
「公務員がすぐ始めるべきこと」の3つ目は、スキルアップです。
スキルアップが重要な理由は次の2つ。
- 副業解禁の流れ
- 自由時間が増える
これからの公務員の未来は、給与の面を見ると手放しに明るいとは言えません。
なぜなら、人口減少による経済衰退がほぼ確実に訪れるからです。
働ける年齢層が少なくなれば、それだけ生産人口が減り、民間の平均給与が減り、結果として公務員の給与も減ってしまいます。
この記事を読んでいる50代の公務員の方なら、まだ逃げ切れるかもしれませんが、これから公務員として働くぞ!という方にとっては厳しい状況です。
そこで必要になるのが、自身のスキルアップ。
人口減少は個人の力ではどうにもなりませんが、自分自身のスキルを磨くことはできますよね。
これからの公務員は、副業・兼業もできるようになるかもしれません。
すでに副業が解禁されている自治体があることは、「公務員を7年半で辞めてFPになった僕が伝えたい『公務員が知っておくと良いこと』3つ」という記事でも紹介しました。
スキルを磨いておけば、副業や兼業にも役立ち、収入を増やすことも可能になるかもしれません。
定時帰りのイメージがある公務員ですが、「残業」も意外とあるんですよね。
そーなのね、毎日定時だと思ってた…
もちろん部署にもよるけど、僕も月に100時間ごえの残業経験があるよ。
そして、単純作業だけど時間はかかる…みたいな業務もあったりするんです…
そんなとき、業務を効率化できるスキル(プログラミングなど)を身につけておけば、仕事を早く切り上げることができます。
残業が減れば、そのぶん自由時間が増えます。
人生のすべてを公務員の仕事に捧げたい!という人は少ないでしょうから、スキルを磨き、自分の人生を楽しむ時間を増やすことをオススメします。
その増えた時間を趣味にあてるもよし、さらなるスキルアップにあてるもよし、投資の勉強をするのもよし、です。
時間は限りある貴重な人生の資源なので、無駄にしないようにしたいですね。
まとめ:高卒公務員とイデコについて
それでは、今回の記事のまとめです。
- イデコはすぐに始めなくてOK
…初任給が安く、余裕がない
…60歳まで引き出せない
…特別法人税の存在 - 逆にすぐ始めるべきこと
…お金が貯まる仕組みづくり
…マネーリテラシーの習得
…スキルアップ!
これまで3回にわたって、メルマガ読者さんからのご質問にお答えしました。
ご質問いただいた方へは、別途メールで回答していたのですが、「このサイトに早くから出会えた自分は本当に幸運だと思ってます!」と、お返事をいただきました。
それはうれしい…とてもうれしい…
お役に立ててよかった…
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