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高卒公務員のメリット・デメリットは?生涯年収や試験難易度、出世について

高卒公務員のメリットデメリットのイメージ画像

岩崎
岩崎

こんにちは!元公務員FPの岩崎です。

前回に引き続き、メルマガ読者さんからのご質問に答えていきます。

質問内容はコチラ

お疲れ様です。

翌年度の四月から、高卒で地方公務員の一般事務職で働き始めるのですが、初めから知っておくと良いことはありますでしょうか。

また、高卒ならではのメリット、デメリット、注意点などがありましたら教えていただけると幸いです。

イデコはすぐに始めた方がいいのでしょうか?それともある程度収入が増えてからの方がいいのでしょうか?

初任給は約14万円です。

ご質問のうち、今回は「高卒公務員ならではのメリット・デメリット」についてお答えします。

なお、「公務員として初めから知っておくと良いこと」は前回お答えしました。

また、「イデコはすぐ始めた方が良いのか?」については、次回お答えします。

岩崎
岩崎

それでは、高卒公務員のメリット・デメリットについて、お金の話をメインにお伝えします。


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高卒で公務員になるメリット

高卒公務員のメリットのイメージ画像

まずはメリットから。

高卒公務員のメリット
  1. 生涯年収は大卒と変わらない
  2. 大学の費用がかからない
  3. 試験に合格しやすい

生涯年収は大卒と変わらない

意外かもしれませんが、公務員なら高卒・大卒で生涯年収はあまり変わらないんです。

ポメすけ
ポメすけ

そうなの?ネットで「高卒公務員は大卒に比べて薄給」とかあったけど…

岩崎
岩崎

しかにそんな記事もあるよね。実際はどうなのか調べてみよう。

ネット上には、「高卒公務員は、大卒公務員よりも生涯年収が低いし、薄給だ」という記事もありますが、根拠を示していないものも多く存在します。

統計データを見てみましょう。

給与とボーナスから生涯年収を試算

総務省の「平成29年地方公務員給与実態調査」から生涯年収を試算してみました。

すると、むしろ高卒公務員の方が大卒公務員よりも生涯年収が高い結果に。

公務員の生涯年収
  • 高卒:2億4,067万9,062円
  • 大卒:2億4,034万9,250円
  • 一般行政職の平均値を使用
  • ボーナスは4.4月分(平成29年度の国基準)
  • ボーナス単価は給料+地域手当平均額

退職金もそんなに差はない

退職金は学歴別のデータが無いため含めていませんが、これも平均ではさほど差がないものと思われます。

公務員の退職金は退職時の「給料月額」と「勤続年数」をベースに計算されます。

  • 給料月額が高いほど、退職金は高くなる
  • 勤続年数が長いほど、退職金は高くなる

なので、高卒と大卒で、退職時の「給料月額」と「勤続年数」に差があるのか?を調べてみると良さそうですね。

「給料月額」はデータがあるので、退職前年齢である56〜59歳の「給料月額」を見てみると、

  • 高卒:40万482円
  • 大卒:42万3,361円

と、約2万円しか差がありません。

勤続年数はむしろ高卒の方が長くなります。

つまり、「給料月額」、「勤続年数」ともに高卒が不利ということはありません。

ポメすけ
ポメすけ

なるほど~!安心!

岩崎
岩崎

平均の話ではあるけど、参考にしてみてください。

正確には、「調整額」という退職時の役職に応じた加算額があるので、役職の有無で退職金額は変わってきます。

たとえば、ある自治体の調整額はこんな感じ。

退職時役職調整額
局長390万円
部長357万円
課長260万円
課長補佐195万円
係長163万円
主事130万円

役職が上がるほど調整額も高くなりますが、課長補佐と係長の差は約30万円と、そうでもないな…というのが僕の正直な感想です。

岩崎
岩崎

退職金についてもっとくわしく知りたい方は、次の記事をお読みください。

生涯年収で見ると、高卒は少なくともデメリットじゃない

あくまで、就職→退職まで「ずーっと公務員ひとすじ!」という場合の話ですが、高卒・大卒で生涯年収はあまり変わらなさそうですね。

もちろん、トータルで長く働くことになるので、一概におトク!とは言えませんが、学歴によって生涯年収に差が出ないということは、高卒公務員のメリットと言ってよいでしょう。

ポメすけ
ポメすけ

平均で見るとそんなに差が無いのね。

大学の費用がかからない

さて、生涯年収という「収入」を見てきましたが、キャッシュフローをトータルで見るには「支出」も必要ですね。

高卒ですぐ公務員になれば、大学の費用がかかりません。

もしも自宅から離れた大学に進学し、アパートなどを借りて4年間過ごした場合、学費と生活費はけっこう高額になります。

日本学生支援機構の「平成28年度 学生生活調査」によると、4年間の学費と生活費を合わせて、

  • 国立大:約700万円
  • 私立大:約1,000万円

と、1,000万円近くのお金が必要になります。

学費等は親が負担することもありますが、奨学金(借金)を利用することもありますよね。

いずれにせよ、高卒で公務員として就職すれば、親の負担も減りますし、借金を抱えることもありません(もちろん、高校で奨学金を借りる場合もありますが)。

生涯年収も変わらず、出ていくお金(学費)も少ないので、高卒で公務員として働くことは金銭的メリットがあると言えそうですね。

試験に合格しやすい

ここまでお金の話をしてきましたが、最後のメリットとして「試験に受かりやすい」ことも取り上げましょう。

高卒ですぐ公務員になる場合、大卒で公務員になるよりも、試験に受かりやすいと思います。理由は2つ。

高卒公務員の試験
  1. 競争相手が手強くない
  2. 試験問題がカンタン

競争相手が手強くない

まず、一次試験は基本的に筆記なので、単純に「テストが得意な人」が受かりやすくなります。

そして、テストが得意な人は大学に進学することが多いので、結果的に高卒試験のライバルはそこまで手強くなくなると予想されます。

もちろん、高卒試験でも倍率は高くなりますが、テストの競争相手としては、大卒者の方が「テストが得意な人」が多いでしょう。

これは、高卒・大卒どちらが良いとか悪いとかではもちろんなく、筆記試験の攻略を考えるとそうなるよね、という話です。

試験問題がカンタン

そして、試験問題の難易度も、高卒区分のほうがカンタンです。

特に、一般行政職では、

  • 高卒:教養のみでOK
  • 大卒:教養+専門

となっていることが多く、大卒の方がよりたくさん勉強しなきゃダメです。

(高卒でも技術系の職種を受ける場合、専門科目があったりもします。)

このように、「競争相手」と「試験問題」を考えると、どうせ公務員になるなら高卒ですぐ試験を受けたほうが、目的を達成しやすいと言えます。

ポメすけ
ポメすけ

試験にも受かりやすくて生涯年収も変わらんなら、高卒公務員は良い選択肢かも~

高卒で公務員になるデメリット

高卒公務員のデメリットのイメージ画像
岩崎
岩崎

それでは、高卒で公務員になることのデメリットも考えてみましょう。

高卒公務員のデメリット
  1. 余計なことを経験できない
  2. 一部の学歴至上主義者の存在
  3. トップまで出世するのは難しい(かも)

余計なことを経験できない

余計なことなら経験しない方が良いのでは、というツッコミがありそうですが、余計なことがある人生も楽しいものです。

寸分の無駄もなく!超低コストに!とにかく合理的に生きたい!という人もいるかもしれませんが、少なくとも僕はいろんなことを経験してみたいし、寄り道しながらの人生も楽しいよね、と思っています。

高校卒業後、「大学に行く」とか、「ニートやフリーターをしてみる」などの選択肢が取れたら、仕事では得られない経験や、人生が変わるような出会いがあるかもしれません。

岩崎
岩崎

別に大学に行かなくても、バイトで旅費を貯めて1〜2年くらい世界を旅をしてみるとか、全然アリだと思います。

この点、高卒ですぐ公務員として働き始めるのは、「時間」という貴重な資源をほぼ仕事に割り当てるという選択をするということ。

もちろん、公務員の仕事が楽しい人もいるでしょうし(少数派な気がしますが)、集中して一つのことに没頭するという道もアリです。

また、公務員になってからも、アンテナを張っていればいろんな経験はできます。

ただし、1日7〜8時間は拘束されるので、必然的に自由時間は削られますよね。

もしこれが自由な風潮の民間企業なら、リモートワークなどで話は別かもしれませんが、ガチガチの前例踏襲とうしゅう文化の公務員は、なかなかそうはいきません。

もし、公務員の方で「うちの自治体にもリモートワークあるけど、自分がやるのは無理だよね…」と思ってる方はぜひチャレンジして欲しいな、と思います。

ポメすけ
ポメすけ

早く働き始めてお金を得ることは、自由な時間とトレードオフってことね

一部の学歴至上主義者の存在

これは、僕が直接見聞きしたことではなく、同僚から聞いた話なので話半分で聞いてほしいのですが、公務員の中には「学歴至上主義者」が紛れ込んでいる場合があります。

実際、「あいつは高卒だから」といった発言をしちゃうダメ上司もいるようで、そんな上司に当たってしまうリスクはあるかもしれません。

まぁ、そんな上司とは高卒・大卒関係なく人として付き合いたくありませんし、淘汰とうたされていくとは思いますが…

地方公務員の職場は、部署によっては非常に閉鎖的だったりします。

雰囲気だけでなく、物理的に他部署と離れていたり、建物自体が別棟だったりするので、そんな部署で変な上司や同僚と一緒になってしまうとけっこうツライと思います。

もしも運悪く「学歴至上主義」の上司や同僚に出会ってしまい、学歴で差別するような言葉を浴びせられても、あなたの価値はなんら左右されませんので、大丈夫ですよ。

聞き流すなり、信頼できる更に役職が上の上司や人事部に相談するなりしましょう。

ポメすけ
ポメすけ

そんな奴もおるんか、ゆるせん…

岩崎
岩崎

僕の周りにはいなかったし、レアケースだと思いたい…

トップまで出世するのは難しい(かも)

最後のデメリットは、『出世』について。

これも僕の公務員時代の肌感覚の話なんですが、高卒で行政のトップクラス(局長級)まで出世する人はレアケースだと思います。

もちろん、自治体によっても違ってきますし、昇任試験が導入されている場合もあります。

そもそも、「バリバリ出世したいぜ!」という野心家な公務員は少なく、特に若い世代の方ほど「出世なんか興味ないよ」という方が多いんじゃないかな、と思います。

ポメすけ
ポメすけ

出世欲のない人にとっては、むしろメリットかもしれんな。

岩崎
岩崎

役職が上がると責任も重くなるからね。

高卒で公務員になるメリット・デメリットまとめ

岩崎
岩崎

さて今回は、高卒公務員のメリット・デメリットについてお話ししました。

メリット
  1. 生涯年収は大卒と変わらない
  2. 大学の費用がかからない
  3. 試験に合格しやすい
デメリット
  1. 余計なことを経験できない
  2. 学歴至上主義者がいるかも(無視でOK)
  3. トップ出世は難しいかも

ちなみに、僕が公務員時代にお世話になった先輩の中にも、何人か高卒区分の方もいましたが、例外なく優秀な方ばかりでした。

逆に、大卒でも「マジか…」と思うような方も普通にいますし、正直「公務員の仕事ができるかどうかは学歴に関係ない」というのが僕の個人的印象です。

次回は、メールでいただいた最後の質問、「イデコはすぐ始めた方が良いのか?」についてお答えします。