入院に備えて医療保険に入った方がいいのかな?自己負担も多いって聞くし…
そんなお悩みにお答えします。
医療保険が必要かどうか判断するには、入院費用を正しく見積もることが大切です。
僕は元公務員のFPですが、公務員時代はよく医療保険のセールスを受けていました。
この記事をお読みのあなたも、お昼休みなどにセールスを受けた経験があると思います。
誰でも病気は不安なので、セールスされるとつい医療保険に入りたくなるものですが、入院費用を正しく見積もれば、「公務員に医療保険は要らないな」と納得できますよ。
入院費用=支出増加+収入減少
入院すると、医療費などのお金がかかるのはイメージしやすいですよね。
でも、出ていくお金が増えるだけでなく、入ってくるお金が減る可能性もあります。
入院によって働けなくなれば、収入が減少する場合もあるからです。
なので、入院費用をきちんと見積もるには、
- 入院によって増える支出
- 入院によって減る収入
この2つを把握する必要があります。
たしかに収入が減ることも考えとかんとな…
入院による支出増加
まずは、入院による支出増加を考えましょう。
入院すると医療費や病院での食費などがかかりますが、その費用だけを見ても、本当の支出増加は分かりません。
なぜなら、食費などは入院しなくてもかかるからです。
入院すると病院でご飯を食べますが、その分、家や職場で食べる食費は減りますよね。
この場合は「病院で食べる食費」から、「それによって浮いた普段の食費」を引くことで「入院による実質的な食費」が分かります。
このように、費目によっては、普段の生活でかかっている金額を差し引く必要があります。
同様に、入院によって支出が減る費目もあり得ます。例えば飲み会代などの交際費ですね。
つまり、入院というイベントで増えたり減ったりする支出を合計してはじめて「入院による実質的な支出」がはじき出せます。
それでは、入院イベントで変化する支出を4つ考えていきましょう。
- 食費
- 医療費
- 差額ベッド代
- その他(交際費など)
入院による食費について
入院による食費の自己負担は、1食460円、3食で1,380円なので、月に41,400円です。
ここから、入院した方の食費を引けばOKです。単身者でコンビニ弁当ばっかり、という方は入院すると食費が安上がりになったりしますね。
完全に余談ですが、僕は公務員時代に友達とルームシェアをしていました。彼は教員なので、昼は給食でしたが、朝晩はコンビニばっかりでしたね…
彼が入院した場合は、確実に食費は安上がりになると思います…
入院で食費が浮こともあるんか…
場合によってはね 笑
入院による医療費について
公務員やその扶養家族の方なら、『高額療養費』+『付加給付』という制度で、ひと月の医療費の自己負担額はかなり安くなります。
加入している共済組合によりますが、僕が公務員時代に加入していた組合では、ひと月およそ25,000円が自己負担上限でした。
そんな安くなるのイイナ~~
公務員の医療保障はホントに強力だよね。現役の時に知っときたかった…
高額療養費や付加給付については、次の記事で詳しく説明しています。
高額療養費があれば医療保険は不要?自己負担額を知っておこう
差額ベッド代は支払い拒否できる
差額ベッド代の支払いを不安に思う方は多いですね。
差額ベッド代は、個室だけにかかると思われがちですが、4人部屋でも差額ベッド代がかかる病室もあります。
しかも、差額ベッド代は保険適用外なので、高額療養費や付加給付は使えません。
うおーん…実際どれくらいお金いるのかしら…
2018年11月14日の厚生労働省の「主な選定療養に係る報告状況」によると、差額ベッド代がかかる4人部屋の場合、1日平均額は2,440円でした。
1か月入院すると、7万円以上かかります。もちろん、2人部屋や1人部屋になるともっと負担が大きくなってしまいますね。
ちょっと不安になる金額かもしれませんが、ご安心ください。
差額ベッド代の支払いは拒否できます。
詳しくは次の記事で解説していますので、読んでみてください。
『差額ベッド代や食費は自己負担』という医療保険のセールストークにご用心
入院によるその他の費用
入院すると、身体が病院に拘束されるので、飲み代などの交際費は浮きます。
月に2回、5,000円を飲み代に使っていたら、1万円浮きますね。
また、家族が付き添いで病院にお見舞いに来る際の交通費などがかかります。
1回あたりの交通費とどれくらいの頻度でお見舞いに行くかで変わってきます。
細かいですが、こういったところも踏まえて入院費用を見積もるとより精度が高くなります。
入院による収入減少
さて、次は入院イベントで発生する「収入減少」について取り上げます。
公務員の方なら、病気休暇で休んでも、しばらくの間は給与の100%が支給されます。
ただし、100%支給される期間は、国家公務員なのか、地方公務員なのか、また、自治体などよっても変わります。
同じ自治体でも、勤続年数や採用区分、身体的な病気なのか、精神疾患なのかによっても変わることがあります。
このあたりは、自治体の給与条例や規則を確認してみましょう。
公務員ならみんな同じ扱いってワケじゃないのか~
病気休暇でも給与は支給される
僕が働いてた自治体ではこんな感じでした。
病気休暇の期間は条件によって90日間か180日間で、給与は100%支給されるようになっていました。
90日もしくは180日の病気休暇を過ぎると、地方公務員法第28条第2項で言うところの『休職』という扱いになり、それから1年間は80%の給与が支給されます。
その後は給与がゼロになり、3年で免職という流れでしたね。
仮に4月1日から休み始めた場合は、以下の表のようになります。
期間 | 給与 | 扱い |
---|---|---|
4/1〜9/30(半年間) | 100% | 病気休暇 |
10/1〜翌9/30(1年間) | 80% | 休職 |
それ以降 | 0% | 休職 |
休職から3年後 | ー | 免職 |
あくまで一例ですが、休み始めて当面の間は収入減にならないのはありがたいですね。
たしかに手厚いね!うらやま~
休職で無給になっても傷病手当金がある
また、たとえ休職して無給になっても、『傷病手当金』という休業補償金を共済組合から受け取ることができます。
たとえば、大阪府市町村職員共済組合のホームページには次のように書かれています。
支給期間:病気、ケガの場合は1年6か月
支給額:1日につき、標準報酬月額の平均額の22分の1に相当する金額の3分の2に相当する金額
つまり、休み始めて1年半で給料が0%になっても、そこから1年半は傷病手当金が受けられるので、3年間は何かしらの収入があるということです。
また、公務員の場合、傷病手当金は半年延長されることもあるので、その場合は3年半の収入源が確保できます。
もちろん、病気休暇の期間や、休職中の給与の支給割合などは自治体や条件によって変わります。
ですが、公務員の入院や病気による収入減少リスクは低く抑えれているということは知っておきましょう。
詳しくはご自身の共済組合のサイトなどをご確認ください。次の記事で各共済組合のサイトへのリンクを貼っています。
地方公務員の共済組合は全部で64組合もある
入院による『見舞金』がないか確認しよう
公務員なら、共済組合や互助会から「療養見舞金」がもらえることがあります。
僕が加入していた互助会では、入院などで1か月以上働けなかった時に、5万円の見舞金がもらえる制度がありました。
ご自分が加入している共済組合や互助会でも同様の制度がないか確認しておきましょう。
見舞金の制度は要チェックね~~
支出増加と収入減少を合わせて入院費用を出そう
ここまでの内容をもとに、2か月間入院した場合の実質的な費用をシミュレーションしてみます。
- 普段の食費は35,000円
- 医療費は付加給付でひと月25,000円
- 差額ベッド代は拒否
- 給与は250,000円
まずは支出増加からいきましょう。
費目 | 普段 | 入院 | 支出増 |
---|---|---|---|
食費 | 70,000 | 82,800 | 12,800 |
医療費 | 0 | 50,000 | 50,000 |
差額ベッド | 0 | 0 | 0 |
合計 | 70,000 | 132,800 | 62,800 |
入院による実質的な支出増加は62,800円でした。
次は、収入減少です。
費目 | 普段 | 入院 | 収入減 |
---|---|---|---|
給料 | 500,000 | 500,000 | 0 |
見舞金 | 0 | 50,000 | -50,000 |
合計 | 500,000 | 550,000 | -50,000 |
入院による実質的な収入減少は−50,000円でした(つまり50,000円プラス)。
なので、
62,800円−50,000円=12,800円が、入院した場合の実質的な費用ということです。
ふむふむ、これくらいなら貯金でなんとかなりそう~
少なくともこの例では、医療保険に入るまでもないよね。
もちろん、あくまで一例ですが、付加給付の強力さと、収入減少リスクが低いという公務員の特性はしっかり押さえておきましょう。
ただし、超長期で入院したり、働けなくなった場合は、収入減少リスクが見逃せなくなってきます。
そういった場合を想定して所得補償保険を検討するのはアリかもしれません。
公務員に医療保険は不要なケースが多い
それでは今回の記事のまとめです。
- 『実質的な』入院費用を見積もろう
- 入院による支出増加と収入減少を把握しよう
このように、実質的な入院費用をシミュレーションしてみると、公務員世帯にとって医療保険は不要なケースが多いです。
もちろん、世帯の状況やその他の条件に左右されますが、どうしても医療保険が必要な公務員世帯は少ないでしょう。
もし医療保険を検討する際でも、実質的な入院費用を必ずシミュレーションしてくださいね。
最後までお読みいただきありがとうございます!
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