生命保険って複雑でよく分かんないな…どうやって選べばいいんだろ?
そんな疑問にお答えします。複雑に見える生命保険は、3タイプに分けると良いですよ。
この記事では、日常的に保険の見直し相談を受けているFPが、押さえておきたい生命保険の基礎知識をお伝えします。
具体的な内容に入る前に、大切なことを一つだけ。
それは、「そもそも保険に入らなきゃダメなんてことは全然なくて、むしろ人生の中で保険が役立つ場面は短期間」だということです。
「保険ありき」の考え方は、損する可能性を高めます。詳しくは「保険はギャンブル。どうせ『賭け』なら上手に賭けよう!」という記事をお読みください。
以上、前置きおしまい!それでは、今回の内容に入っていきましょう。
生命保険は3タイプある
生命保険って、いろんな名前で販売されていますよね。
死亡保険や学資保険、外貨建て保険や個人年金保険……種類が多すぎて、何が何やら…という方もいると思います。
実際、ぼくが受ける保険見直し相談でも「自分が入っている保険内容がよく分からない」という方が驚くほど多いんですよね。
そこで、生命保険を3つのタイプに分けてご紹介します。
- 定期保険
- 終身保険
- 養老保険
複雑に見える生命保険も、この3つを組み合わせて設計されていることが多いので、まずは「定期」「終身」「養老」を押さえておきましょう。
なお、純粋に死亡保証を考えるなら①の定期保険を選ぶのが合理的です。
終身保険と養老保険はコストが割高になので、基本的にオススメしません。
定期保険とは
読んで字のごとく、『期間が定まっている生命保険』です。
ふーん。その「期間」ってなんの期間??
保障される期間のことだよ。
一定期間だけ(たとえば10年とか)死んだら保険金がもらえるよ、という生命保険ですね。
解約返戻金が無い『かけ捨て』の保険ですが、その分保険料が安く抑えられており、合理的な生命保険の代表選手です。
更新時の保険金は安く見直そう
定期保険では、高年齢になるほど、保険料が上がります。
死ぬ可能性は歳を取るほど高まるので、保険料を高くしないと保険会社もやってられませんよね。
たとえば、30歳から40歳まで3,000万円の定期保険に入って、40歳でまた10年更新する場合、同じ3,000万円の死亡保険金額にすると、支払う保険料がけっこう高くなります。
でも、何も同じ死亡保険金額で更新する必要はありません。
生命保険は、遺族の生活費に充てるものなので、30歳で死亡した場合と40歳で死亡した場合とでは、そもそも遺族の生活費が違います。
死亡時の年齢が高いほど遺族の生活費は安くなります。つまり、定期保険は更新時に死亡保険金を安くすると合理的です。
保証金額を安く見直せば、支払う保険料も安くなるので、更新時はしっかり見直しましょうね。
また、遺族の生活費が十分に貯蓄できたら、生命保険は卒業しましょう。
ふむふむ。更新時に死亡保険金を安く見直すのがポイントなんだね~
そうだね。正直、生命保険はこの定期保険だけで十分なケースが多いよ。
終身保険とは
終身保険とは、『保証が一生涯続く生命保険』です。
人はいつか必ず死ぬので、いつか必ず保険金がもらえます。途中で解約しても解約返戻金がもらえます(元本割れ期間も長いですが…)。
かけ捨てじゃないから、支払った保険料がムダにならないし、葬式代の準備にも良いですよ
とか言われますが…ぶっちゃけこれはウソだと思います。
なぜなら、支払う保険料の中には必ず「保険会社の営業マンの給料などのコスト」が含まれているため、ムダにならない保険料なんてそもそも存在しないからです。
また、葬式代のように必ず必要になる費用は、余計なコストのかからない預貯金で備えるほうが良いですね。
「保険料がずっと据え置き」はメリットじゃない
また、「保険料がずっと据え置き」という点をメリットとして強調している保険会社もありますが、これもメリットではありません。
本来、死亡リスクは若い時ほど小さく、高齢になるほど高くなります。
なので、若い時は保険料が安く、高齢になれば保険料が高くなるのが当たり前ですよね。
それなのに、保険料が「ずっと据え置き」ということは、相対的に若い時の保険料が高くなるということです。
要は、平均にならして保険料を取るか、段階的に取るかの違いでしかありません。
更に言うと、定期保険のところで書いたように、遺族の生活費はだんだん減っていくので、そもそも一生涯同じ金額の保障なんて不要ですね。
相続税対策には一定の効果あり
終身保険の良いとこってないの?
そうだね…相続税対策には一定の効果があるよ。
死亡保険金は一定の金額まで非課税になるので、預貯金で残すよりも、死亡保険金として残すほうが節税になります。
ただし、そもそも相続財産が「3,000万円+600万円×法定相続人の数」までなら相続税はかかりません。
相続税対策として終身保険を利用する場合は、この点に注意しておきましょう。
養老保険とは
養老保険とは、『定期保険と貯蓄機能を併せ持った生命保険』です。
特徴が2つあります。
- 一定期間の死亡保証
- 満期に保険料が戻ってくる
つまり、一定期間中に死亡すると死亡保険金がもらえて、死亡しなければ満期保険金がもらえる、ということです。
えっ!絶対お金もらるならめっちゃ良くない?
ぱっと見ではそう思うよね、でもオススメしないよ。
保険料が非常に割高→検討不要です
ぱっと見、死亡保証もつくし、お金は絶対に戻ってくるしめっちゃ良い!となりそうな養老保険ですが…
保険料がとても高く、旨味はありません。
要は、『定期保険+貯金』という商品なので、別々に準備すれば良いだけです。
同じ金額の死亡保険金でも、掛け捨ての定期保険ならかなり割安に加入できます。
また、終身保険のところでも書いたように、支払う保険料の中には必ず「保険会社の営業マンの給料などのコスト」が含まれています。
老後資金の確保に良いと言われる養老保険ですが、ムダなコストを払いながら保険で貯蓄する理由はどこにもなく、普通に貯金していれば済む話です。
なるほど…たしかにちゃんと考えるとそうなるね…
まとめ:生命保険は定期保険をまず押さえよう
さて、今回は3つの生命保険について紹介しました。改めてまとめます。
- 定期保険
…どうしても必要な時期にだけスポットでかける - 終身保険
…「一生涯の保障」がそもそもズレている - 養老保険
…保険料が割高なので、定期保険+貯金でOK
保険というのは「加入者全体で見れば、保険会社のコスト分は損するもの」なので、掛けずにすむならそれが一番です。
生命保険も、定期保険を必要な時期(例:お子さんが小さい間など)にだけ掛けるのが基本です。
と言っても、実は定期保険って3種類あるんですよね。次回の記事で掘り下げて書きます。
生命保険は掛け捨ての定期保険が良いって言うけど、定期保険にも3種類ある
最後まで読んでくれてありがと~
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