収入保障保険ってやつがあるらしいけど、定期保険や逓減定期保険と何が違うんだろ?
そんな疑問にお答えします。
前回、法人じゃない一個人が合理的に生命保険を掛けるなら、
- 定期保険を適宜見直す
- 逓減定期保険に入る
このどっちかが良いよ、とお伝えしました。まだお読みでなければ目を通しておいてくださいね。
さて今回は、合理的な生命保険をもう一つだけ紹介します。
それが、冒頭の『収入保障保険』です。
収入保障保険とは?定期保険や逓減定期保険との違い
収入保障保険とは、もらえる死亡保険金が毎月減っていく生命保険です。
生命保険は、遺族の生活に備えるものですよね。そして、遺族の生活に必要なお金は時とともに減っていきます。それこそ毎月のように。
このため、保険金が毎月減っていく収入保障保険はとても合理的な保険だと言えます。
だんだん減っていく…なんか聞いたことある気がする…
収入保障保険は、前回の記事で紹介した「逓減定期保険」とよく似ている保険なんだ。
逓減定期保険も保険金がだんだんと減っていく、これまた合理的な保険ですが、ちょっとした違いもあります。
- 保険金のもらい方
- 保険金の減り方
保険金のもらい方が違う
まず一つ目の違いは、お金の受け取り方です。
- 定期保険や逓減定期保険
…一気にドカッともらう - 収入保障保険
…毎月の給料みたいにもらう
定期保険は一気にドカッともらう
たとえば、死亡保険金3,000万円の定期保険に入っていたら、いつ死亡しても3,000万円が一気にもらえます。
この「一気にもらえる」というのは「通常の定期保険」だけでなく、「逓減定期保険」も同じです。
逓減定期保険は、時とともにもらえる死亡保険金が減っていく生命保険でしたね(詳しくは前回の記事をお読みください)。
たとえば、30歳の時に死亡すると3,000万円が一気にもらえて、50歳の時に死亡すると1,000万円が一気にもらえる、といった具合です。
一気にもらえるのは嬉しいかも~
そうだね。きちんと自分で計画立ててお金を使える人にとっては良いかも。
収入保障保険は毎月、給料みたいにもらう
収入保障保険は「3,000万円」とか「1,000万円」とかを一気に受け取るのではなく、分割して毎月(or毎年)受け取ることができます。
例として、月額10万円がもらえる収入保障保険に30年加入する場合を考えてみましょう。
- 入ってすぐ死亡
…10万円×12か月×30年で、合計3,600万円もらえる - 翌月に死亡
…1か月分、つまり10万円が減り、合計3,590万円もらえる
以降、毎月10万円ずつ減っていく…という具合ですね。
通常、生活費のやりくりは1か月単位なので、実生活ともよく合った保険ですね。
一気にもらうこともできるけど、金額が減る
なお、毎月ではなく、一気に死亡保険金をもらえる収入保障保険もあります。
ですが、毎月もらう場合よりもトータル金額は少なくなります。
なぜなのか…
保険会社の立場になって考えてみよう。
保険会社は、加入者から集めたお金を運用して増やしています。もし一気に保険金を加入者に払ってしまうと、その分運用する元手が減ってしまいます。
元手が減れば、運用で得られる利益も減ってしまうので、一気に保険金を払うならその分減らすね、ということです。
逆に毎月のように細切れにして加入者に保険金を払うパターンなら、運用に回せるお金が増えますよね。
お金は長く運用できれば複利の効果で大きく増やせるので、保険会社はその辺りを計算して、保険金の額を調整しているんですね。
保険金の減り方が違う
さて、収入保障保険と逓減定期保険の違い一つ目は、「保険金のもらい方」でした。
二つ目の違いは「保険金の減り方」です。
せっかくなので、「通常の定期保険」も含めて、
- 通常の定期保険
- 逓減定期保険
- 収入保障保険
この順に紹介していきますね。
通常の定期保険→減らないから更新時に見直す
通常の定期保険は、10年なら10年間、30年なら30年間という、決まった期間内での保険金は同じです。
なので、段階的に減らしたかったら、更新時に見直すことになります。超短期だと1年の定期保険もありますが、一般的には10年くらいのものが多いですね。
仮に10年ごとに見直すとしても、遺族の生活に必要なお金は10年単位ではなく、毎日のようにだんだん減っていくので、どうしても無駄な部分が出てきてしまいます。
ふむふむ。通常の定期保険だと、更新時に見直すしかないのね…
逓減定期保険→年単位で減る
逓減定期保険は、たとえば30年という期間のうち、1年目は5,000万円、20年目は2,000万円というように保険金が減っていきます。
ただし、この減り方って保険商品によって変わるんですよね。
- 毎年同じ金額が減る
- 毎年同じ割合で減る
- 加入後10年は同じ金額
などなど、様々ですが、減っていく最小単位は「年」であることがほとんどです。
同じ逓減でもいろんなタイプがあるってことか。
収入保障保険→月単位で減る
収入保障保険は、保険金が毎月減っていきます。
今回登場した3つの保険の中では、減る単位がもっとも小さい「月単位」の保険です。
減り方だけ見ると収入保障保険が合理的
さて、ここで押さえておきたいのは「必要保障額は時とともに減っていく」という生命保険最大のポイント。
必要保障額ってナニ?という方は前回の「生命保険は掛け捨ての定期保険が良いって言うけど、定期保険にも3種類ある」という記事をお読みください。
「時とともに」の部分を掘り下げると、毎年、毎月、毎日…というように、日々減っています。
なので、必要保障額は右肩下がり図を描きます。このブログではおなじみの図ですが、ご覧ください。
この必要保障額の図形とできるだけピッタリ重なる生命保険が、一番ムダがありません。
極端に言えば、死亡保険金も毎日減るような生命保険が良さそうです。
この前提に立って、
- 定期保険を適宜見直す
- 逓減定期保険
- 収入保障保険
の3つを比べた場合、必要保障額の図形との「ピッタリ度」は、
収入保障保険 > 逓減定期保険 > 定期保険を適宜見直す
という順番になります。
もちろん、あんまり未来の必要保障額なんて分からないとか、保険料の比較、とか気にしなきゃいけない部分は他にもあります。
それぞれの保険の内容も(例えば逓減保険は毎年何パーセントずつ減るかなど)違いますしね。
ただ、収入保障保険の仕組みはとても合理的なんだな、ということは押さえておきましょう。
まとめ:個人なら定期・逓減・収入保障を選ぼう
それでは、今回の記事のまとめです!
- 定期保険と収入保障保険の違い
…保険金のもらい方や保険金の減り方が違う - 必要保障額の減り方とよりマッチするのは収入保障保険
実際の生命保険選びでは、必要保障額を計算して、その額を得るためにはどの保険を選ぶとコスパがいいか?(多くの場合保険料の安さ)を考えます。
そのため、必ずしも収入保障保険が絶対に良いというわけではありません。
ですが、少なくとも今回登場した3つの生命保険は、終身保険や養老保険よりもずっとコスパが良く、合理的な商品です。
なので、
- 通常の定期保険を適宜見直す
- 逓減定期保険
- 収入保障保険
のいずれかを選べば、生命保険で大損することは少なくなるはずです。ぜひ参考にしてください。
最後まで読んでくれてありがと!
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