こんにちは、元公務員FPの岩崎です。
先日、地方公務員の年齢別の手取りについて書きましたが、もう少し身近でイメージしやすい例はないかなぁと考えてました。
そこで今回は、年齢、役職、家族構成を具体的に設定して比較してみることにしました。
実際、これから出世していった場合に自由に使えるお金(手取り)ってどれくらいなんだろ…と気になってる方の参考になれば嬉しいです。
今回、比較するにあたって、
- A主事
…26歳、独身 - B主事
…33歳、独身 - C係長
…42歳、既婚、子1人(7歳) - D課長補佐
…50、既婚、子1人(17歳) - E課長
…58歳、既婚、子1人(22歳)
の5人に登場してもらいましょう。
配偶者の有無や、子の年齢によって所得から差し引ける額が変わります。
今回のシミュレーションでは以下の控除が使えます。
条件 | 所得税控除 | 住民税控除 |
---|---|---|
配偶者アリ | 38万円 | 33万円 |
16〜18歳の子 | 38万円 | 33万円 |
19〜22歳の子 | 63万円 | 45万円 |
みんなどれくらい使えるんでしょうねぇ、わくわくが止まらない~~
すごく楽しそうだ
使用データと前提条件
総務省の「平成29年地方公務員給与実態調査」の結果から、一般行政職の全国平均データを使用します。
以下の条件でシミュレーションしてみましょう。
- 既婚の3人は配偶者控除を使える
- 課長補佐、課長は扶養控除を使える
- ボーナスは4.4月分(H29人事院勧告)
- 時間外手当は月10時間分(課長以外)
公務員の時間外手当(残業代)単価は?
時間外手当(残業代)10時間分って実際いくらなの?という疑問があるかもしれません。
実は公務員にも時給の概念があって、残業時間中は時給が1.25倍になります。
計算式などはまた別に書こうと思うので、この記事では省略しますが、今回の5人の残業単価はこんな感じです。
- A主事:1,592円
- B主事:2,057円
- C係長:2,662円
- D補佐:3,032円
- E課長:なし
課長は残業なしってこと?
いや、管理職手当が出てるから、仮に残業しても基本的には残業代は出ないんだよ。
そうなんや…それはつらい
休日勤務や深夜の残業はまた別なんだけどね。
管理職手当の額やボーナスの基礎額は、役職が上がるにつれて増えていきます。
ですが、同時に税金や社会保険料も増えますし、当然責任も重くなっていきます。
公務員時代の自分はまったく上昇志向がなく、正直出世なんてしたくないなあと思ってました…(できるかどうかはまた別の話ですが)
むしろ残業代が付く課長補佐の方が、トータルの年収では高いなんてことはザラにあると思います。
繰り返しですが、収入が増えても出ていくお金(税金など)も増えますので、支出を抑えて使えるお金を増やすのが資産形成の王道です。
年齢や役職ごとの手取り推計結果
5人の手取りを表にしてみました。
役職・年齢 | 手取り | 税金 | 社保 |
---|---|---|---|
A主事 26歳 | 20万円 (28万円) | 2.4万円 | 5.6万円 |
B主事 33歳 | 25万円 (35万円) | 3.8万円 | 7万円 |
C係長 42歳 | 32万円 (46万円) | 4.8万円 | 9.2万円 |
D補佐 50歳 | 35万円 (50万円) | 5.7万円 | 10.2万円 |
E課長 58歳 | 35万円 (53万円) | 5.5万円 | 10.6万円 |
金額は全て月額です。
カッコ内はボーナスを含めて月額にならした金額です。
んー?思ったよりガッツリ手取り増えないんやなぁ。
あくまでもシミュレーションではあるけど、税金や社会保険料も基本的には増えていくからね。
独身の場合は税金が増える
ちなみに、ずっと独身の場合はこうなりました。
役職・年齢 | 手取り | 税金 | 社保 |
---|---|---|---|
A主事 26歳 | 20万円 (28万円) | 2.4万円 | 5.6万円 |
B主事 33歳 | 25万円 (35万円) | 3.8万円 | 7万円 |
C係長 42歳 | 30万円 (43万円) | 5.7万円 | 9.2万円 |
D補佐 50歳 | 33万円 (48万円) | 7.4万円 | 10.2万円 |
E課長 58歳 | 33万円 (51万円) | 8.2万円 | 10.6万円 |
ウワー、税金増えて手取り減っちゃうんやな…
うん。独身だと扶養する家族がいなくて、配偶者控除や扶養控除が使えないからね。
所得が増えるほど節税の効果も高い
5人の税率も見てみましょう。
役職・年齢 | 所得税率 | 住民税率 |
---|---|---|
A主事 26歳 | 5% | 10% |
B主事 33歳 | 10% | 10% |
C係長 42歳 | 10% | 10% |
D補佐 50歳 | 20% | 10% |
E課長 58歳 | 20% | 10% |
このように、収入(所得)が増えるほど所得税率も高くなっていきます。
これは、日本で生きる上では仕方ないですよね。
ですが、所得税率が高いということは、節税効果も高いということです。これをうまく使って節税するのがオススメです。
iDeCoの節税効果を比較
5人がiDeCoに加入した場合の節税額を比較してみましょう。
全員、公務員の限度額である144,000円を掛金として支払った場合です(2022年度時点の上限額)。
役職・年齢 | iDeCo掛金 | 節税効果 |
---|---|---|
A主事 26歳 | 14万4千円 | 2万1,600円 |
B主事 33歳 | 14万4千円 | 2万8,800円 |
C係長 42歳 | 14万4千円 | 2万8,800円 |
D補佐 50歳 | 14万4千円 | 4万3,200円 |
E課長 58歳 | 14万4千円 | 4万3,200円 |
お~結構ちがうのね
そうだね、iDeCoは掛け金の全額を所得から引けるから、生命保険とかに比べると節税効果が高くなるんだよ。
2017年から公務員の加入が解禁されたiDeCoは、今のところ加入できるのが60歳までです。
そのため、50代の公務員の方から「自分が加入するのはもう遅いですかね…?」と相談を受けることもあります。
全然遅くないので大丈夫ですよ。
仮に50歳で始めたとしても、所得税率20%、住民税10%だとしたら、10年で43万円は節税できます。
確かにiDeCoは長期積立に有利な制度ですが、期間が短いことを逆手に取って、元本保証タイプを選べば、所得控除のメリットだけを手にすることもできますよね。
なるほど~そんな発想もアリかも~
まあ、あくまでもiDeCoは投資なので、余裕資金で行う必要はあるけどね。
まとめ:手取りが増えなくてもできることから始めよう
それではまとめです。
- 昇給や昇格で年収が増えると、税金等も増える
- 所得税率が高いほど、節税対策の効果は大きい
- iDeCoは、いつ始めても遅すぎることはない
昇給したからといって、自由に使えるお金もドーン!と増えるわけじゃないのはちょっと悲しいですが、だからこそ個人でできる対策が大切になってきます。
節約や節税のマネースキルは一生役立つので、ぜひ早い段階で身につけていきましょう。
最後まで読んでくれてありがと~
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